yoccatta TOKYO のエシカルトライ日記

廃棄エアバッグのアップサイクルブランド『ヨカッタ トーキョー』のエシカルな日常を綴ります

家具の声を聴く

ようやくインテリア業界でも、

サステナブルな活動がフォーカスされるようになってきたようです。

 

 

現在開催中のデザイン&アートフェスティバル『DESIGNART TOKYO』。

その中で、-家具の循環- をテーマに掲げていたアクタス・青山店へ伺ってきました。

 

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電通による『エシカル消費 意識調査2020』によると、

エシカルな取り組みを行っている印象がある業界として、

上位にあるのは、食品38.1%・自動車23.4%、

一方、住宅・美容・家具業界は、いずれも10%未満。

電通、「エシカル消費 意識調査2020」を実施 - ニュースリリース一覧 - ニュース - 電通

 

 

創業52年のアクタス社も、2005年まではお客様から回収した家具を廃棄処分業者へ委ねていたそうですが、かねてからこのことに疑問を感じていた社内スタッフの声もあり、業界として前例のなかった家具の分解・分別・素材の再利用に果敢にチャレンジ。

今回、その軌跡を知ることが出来ました。

 

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●セルフユース(修理サービス)

●トレードイン(家具引取りと再販)

●エコ・ループ(分解とマテリアルリサイクル)

 ※エコ・ループはアクタスの商標登録 2009年より運用

 

上記の3つの循環システムが評価され、

アクタスは2021年度グッドデザイン賞を受賞。

 

前例のない活動であること、自治体ごとの仕組みの壁など、

様々な問題に取り組みながらの活動の困難さは、容易に想像できます。

 

それでも、このような活動に取り組まなければ、

次の時代に継続できる企業ではいられないという

危機感があるそうです。

 

実は、この受賞の背景には、

パンデミックによる私たちの暮らし方の変化と気づきも大きかったとのこと。

リモート生活やおうち時間によって、自宅の環境に大きな変化がおき、

その後、ONとOFFの区切りがゆるくなった暮らしへ、改めて向き合う人が増えた。

そのようなお客様の意識変化を受け、グッドデザイン賞への挑戦にも繋がったとのお話でした。

 

 

ファストファッション”同様、“ファストインテリア”と称される家具も

大きな問題を抱えています。

 

生活の変化、家族の変化、引っ越し、転勤、、、

共にする家具たちも、

ある時は、分解され、移動に耐え、また組み上げられ、

人間と同じように経年変化していきます。

 

メンテナンスしながら次世代にも引き継がれるような家具と

素敵なお付き合いができるのが理想ですが、

残念ながら、“ファストインテリア”の家具には

そのようなプロセスを前提に作られていなかったりするモノもあり、

引越しと同時に、大型の廃棄物がうまれてしまいます。

 

 

 

職人さんにとって、お客様からの何より嬉しい依頼は、

永く使い込んだ家具のメンテナンス。

メンテナンスしている間に、

家族のらくがきが見つかったりこともあるそうです。

 

 

家具は、私たちと共に、時間と体験を重ねています。

無垢材の家具は、本来、私たちの寿命より長生きです。

 

アクタスさんも「まだまだこれからです」と仰っていましたが、

私たちこそ、自宅や仕事でお世話になる家具について

向き合ってみる必要があるように思います。

 

 

 

yoccattaのBAGも、

使われなくなった後の姿やしくみを模索しています。

みなさまからのお声もいただきながら、

循環できるアイデアを検討していけたらと願っています。

 

 

 

 

 

『DESIGNART TOKYO 2021』

10月 22日(金)〜10月 31日(月)開催

 

エシカルと、正しさ

 

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エシカル】とは・・・「倫理的な」という形容詞。

「倫理」とは、人として守り行うべき道。

 

この哲学的なワードが、、、

何気ない現実を目の前に、わからなくなる時があります。

時代や場所、背景によっても、

善き行動は変わるのではないでしょうか。

 

 

江戸時代を生きていた人たちと、

現代人の価値観が異なるのは当然ですし、

 

赤道付近の砂漠と、南極での暮らしでは、

気をつけなければならないことも全然違うでしょう。

 

紛争地域で生まれ育った人と、

安全で治安の良い日本で暮らしている私たちとでは、

あたり前の感覚が共有できないでしょう。

 

 

自分のエシカルな選択を安易にふりかざすと、

誰かを傷つけることもあります。

 

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↑ これは、yoccattaのブランドマーク

 

"迷えるマーク”赤と青の、まるで動脈と静脈のようなマークは

ひらがなの『よ』をモチーフにしていて、

 

赤い線は、開発しては破棄し発展していった30世紀の産業界、

青い線は、地球が痛んでいることに気がついて、

下がりながらも改善に向かおうとする現在をあらわしています。  

 

yoccattaは、常に迷いながらチャレンジを続ける

ブランドでありたいと思っています。

yoccatta tokyo HPより

 

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リサイクルの技術やシステムは、

これから10年、20年で大きく変わっていくと確信しています。  

 

エアバッグの開発や、自動運転の普及などによっても、

状況は変化していくでしょう。 

 

廃棄エアバッグをアップサイクルする

必要がなくなる未来へ到達するまで、

yoccattaも、その時、その状況の、よりよい選択を、

悩みながら探していくのだと思います。

 

それでいいし、それがいい、と思います。

 

 

正しさは、時に、軋轢をうみます。

正しさと、正しさが、国同士の戦争に発展します。    

しなやかさのない正しさは、幸せをうまない。

エシカルな行動も、同じだと思います。

 

 

頼りにしたいのは、

外側についた後天的な正しさではなく、

私たちの内側の深いところにある

根本的な喜び、叡智。

 

 

ときどき、出来ないことばかりで情けなくなりますが、

共に悩み、共に迷いながら、

一歩、一歩、進んでいけたらと願います。

 

エシカルも、人生も。

 

 

命を守る、陰のヒーロー

ここでは、ヨカッタのエシカルコンシェルジュスタッフが感じたこと、出会ったことなどを、ゆるく綴っていきたいと思います。
 
本日は、@yoccatta_officialで発信した「ライフステッチ」のことや、その周辺のお話を。
 
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“ハンドルの中央に隠れるエアバッグは、丸くて、大きなベレー帽の様な形をしています。事故の際、起爆装置が作動して、コンマ数秒の間に"エアー"が送り込まれ、プラスチックのカバーを押し破って膨らみ、ドライバーの命を守ります。強烈な圧力がかかるその先端…エアバッグの中央部分は、破裂防止の為に生地が二重に施され、特殊なミシンステッチで補強されています。 
ドライバーを守る…言わば「命のステッチ」です。” 
@yoccatta_official 〈命のステッチ LIFE stitch〉より

エアバッグ

デザイナーの伊藤にとっては、当たり前のエアバッグSTORYだったかもしれませんが、まだまだ深く認識できていなかった私には、改めてエアバッグの愛に触れた想いがして、、、自分でも更に調べてみることにしました。
 
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今でこそ、誰もがエアバッグの有効性を疑っていませんが … 開発当時の努力は大変なものだったようです。「こんなものが本当に実用化できるのか…」と、周囲の人たちさえ半信半疑の中、“命を守るためのシステムの必然性”を信じて諦めなかった、開発者の方々の熱意のお陰なのです。
 
火薬を使ってガスを発生させるそのシステムも、いざという時の一瞬の確実性はもちろん、廃車となるまでの長い時間経過の中でも不具合がおきないよう、リスク回避のための様々な努力が重ねられているのです。命を左右する安心安全を “当たり前”にするまでに、どれだけの失敗や苦悩があったことか…。
エアバッグの技術者達こそ、陰ながら命を守るヒーローです!
 
そして、yoccatta「命のステッチと呼ぶ、丸いミシンステッチは、その象徴のひとつ。色や形状の違いも、各社の工夫や、製造された時代を象徴していると思うと、感慨深いですね。
 
一般的な量産品と違って、yoccattaに全く同じBAGは存在しません。私たちスタッフも、商品が出来上がってきてはじめて、ひとつひとつのBAGに出会う感覚があり、毎回ドキドキします。仕様書に表現されていない「命のステッチ」から、裁断して下さった方のセンスと愛も伝わってきます。時にはユーモアも。
 
 
個人的なことですが、私は、大切な友を交通事故で失いました。エアバッグが事故に遭遇せず役割を終えることは、決して当たり前のことではありません。使われなかったエアバッグは、“幸運のしるし”なんです。
 
 
愛おしい!? 命のステッチ!
使われなくて、本当にヨカッタ!
 
 
あなただけの “ステッチ” を選ぶこともできます。
↓ONLINE SHOP -命のStitchシリーズ-