マイノリティな視点からうまれるユニバーサルデザイン
度々お伝えしていることですが、ヨカッタのチャレンジは、エアバッグ開発エンジニアとの出逢いからスタートしました。マーケティング的な発想からうまれたプロダクトでないところがヨカッタらしいというか … 新しいチャレンジは、いつも出逢いがきっかけとなって導かれています。
クラウドファンディングで発表した『SIDE MY LIFE』のユニバーサルデザインについても、マルイさんを介したご縁で、脳フェスさんと出逢えたことがきっかけでした。
「本当に使いやすいバッグに出会ったことがない」という片麻痺当事者の方のリアルな声に、デザイナーのクリエイター魂が揺り動かされました。棄てられているエアバッグの存在を知った時のように。
脳フェス代表の小林さん自身が、理学療法士であり片麻痺当事者であることも、大きな要因だったと思います。「曲がるストローやジッポーライターなど、社会的弱者(マイノリティ)のニーズから開発されたアイテムが、世の中のスタンダードになってきた」…そんな小林さんの理念にも、深く共感しました。
デザイナーの伊藤は、これからのデザイン業務において、ここに大切なヒントがあると直感したようです。これまでの〈サステナブル〉というキーワードに加え、〈✽インクルーシブ〉という視点がヨカッタに加わりました。
✽【インクルーシブデザイン】ユーザー対象とされていなかった人たちを包括するようなデザイン
片麻痺当事者のリアルな視点を通して、さまざまな人やシチュエーションにおいて、片手使用ができるバッグを目指しました。左利きの人はもちろん、傘をさしていたり、子供と一緒だったり、片手が塞がっている時にも便利なバックパックは、誰にでもやさしいカバンになれるはず。
「健常者が想像で作っているから、本当に当事者の人が使いやすいのかどうかわからない。脳フェスに集まる沢山の当事者の意見を参考にしていこう!」となっていったのも、自然な流れでした。
量産品として生産できる範囲で、最大公約数を見つけていくというのは大変な作業でしたが、使用される方の声を聴くという、なかなか経験できないプロセスは、とても貴重でした。プロダクトの作り手にとって、“ユーザーのイメージ” はあっても、“ユーザーの顔が見えるデザイン作業” というのは、かなり新鮮だったと思います。
そして、実際、手元に届いた皆さんからの喜びのメッセージがまた素晴らしく、、、「思い切って買って良かった!」「カッコイイ!」「一生大事にします!」などなど。様々な場所へ足を運ぶ相棒として『サイドマイライフ』の存在を位置づけ、歓迎して下さっているご様子に、スタッフ一同、胸が打たれました。
作る人と使う人、お互いに顔が見えるって、最高です!
ヨカッタのデザインチャレンジ、更なる進化も目論んでいるようですので、今後の動きにも是非ご期待ください。
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[ユニバーサルプロダクト 関連情報]
SDGsの流れもあり、各業界でユニバーサルなプロダクトが増えてきていますが、ファッション業界はかなり遅れているように感じています。
使用するための機能を叶えるだけでなく、自分らしさを表現でき、その商品を使っていることが誇らしくなるようなプロダクトが理想です。人気ブランドがマタニティウエア等を展開するケースが増えてきたように、 ユニバーサルデザインにも挑戦していくブランドがどんどん増えていくと良いなと思います。
◆『トミーヒルフィガー』では、2016年より障害のある大人と子どもが着脱しやすい機能を搭載したコレクションを展開しているようです。片手で操作できるジッパー、マグネット式のボタンなど、誰もがストレスなく自分らしいスタイルを表現できるよう配慮されています。
重要アイテムである副資材の開発にも期待しています。
◆YKKが研究開発したインクルーシブなファスナー「*VISLON® マグネットタイプ」。これは、開具部分に埋め込まれたマグネットのアシストによって、誰でも簡単に操作できるファスナー。
→誰もがより簡単に操作できるインクルーシブなファスナー
https://ykkdigitalshowroom.com/jp/article/344/
ファスナーやマグネット、マジックテープなどは片手ライフに重要なアイテム。使いやすい機能性と価格設定での開発、応援したいです。