yoccatta TOKYO のエシカルトライ日記

廃棄エアバッグのアップサイクルブランド『ヨカッタ トーキョー』のエシカルな日常を綴ります

yoccattaのエシカルSTORY … 4

 

『yoccatta TOKYO』のエシカルな歩み

[その4]国産化のための新たなパートナーシップと、ブランドとしての指標策定についてです。

 

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立ち止まって、 本当に大切なことに向き合う  

 

全ての工程・パートナーとの関係性を見直す

 

国産化に伴い、自分たちの行いが社会に及ぼす影響を問い正してみました。

 

様々な方の支えもあり、特に、エアバッグとシートベルトを回収する “自動車解体工場”、手作業でエアバッグを分解する “福祉工場” … 異業種との協業体制を強化しました。

 

効率の悪いアップサイクルの仕事を受けてくれた染色・裁断・縫製の志の高い各工場も、強い味方です。

 

 

 

 

yoccatta『エシカルトライ』の指標策定  

 

A:日本の廃材を日本でアップサイクルする...『made in JAPAN』

B:「解体」を福祉工場に依頼、平等な就労を実現する ... 『ソレイユ ( 太陽 ) プロジェクト』

C:作る側と使う側の信頼関係 ...『生産背景の透明化とその見える化

D:輸送距離や移動回数を減らし環境負担を軽減する... 『CO2 削減』

E:リサイクル状況の明確化 ...『リサイクル率表示』  

F:理念なき大量生産と商品の廃棄を無くす ...『 適量生産・適量販売 』  

G:裁断クズを地上資源と捉えた ...『eco カス企画』

 

 

yoccattaのエシカルSTORY … 3

『yoccatta TOKYO』のエシカルな歩み

[その3]自分たちの“当たり前”が、大きく変化することになったプロセスについてです。

 

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気づかされた『見えない価値』

 

「国産にしてください!価格が上がっても良いから…」

 

創業時、yoccatta は中国生産でした。工程が多く、思うほど価格を抑えられなかったこともあり、差別化できるように、” 見た目” にもこだわり製造していました。

ある時、「デザインやクオリティはこのままで、日本製にして欲しい!価格が上がっても良いから… 」と、要望がありました。

初めてのことで衝撃でした。『見えない価値』を意識する重要な出来事でした。

 

 

 

『日本の廃棄物』と 『made in JAPAN』  

 

日本の廃棄物を『海外に』持ち出さない!

 

廃棄エアバッグとシートベルトは、廃材として申請し、輸出していました。

 

2017年、中国は環境対策に舵を切りました。賃金も上がり、コストが国内 とさほど変わらない状況に陥りました。


『日本の廃棄物』を海外に持ち出さず、日本でデザインして、日本で作って、 日本で使ってもらえないか⁉︎ 確実にコストは上がる...でも、クオリティは安定する… 裁断クズの管理もできる…。

 

yoccatta は日本製に舵を切り、地産地消を目指すことを決意しました。

 

 

yoccattaの"居心地の悪い“ブルー 

※ 今回の記事は、yoccatta デザイナー 伊藤卓哉が執筆しています。

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エアバッグの廃棄・そのアップサイクルの工程を表す「yoccattaリサイクルイラスト」。
2014年、エアバッグ開発エンジニアと出会い、“感謝とアップサイクルのコンセプト”を落書きしながら創り上げました。
その“落書き”をそのまま商品の裏側にプリントしています。

 

 

先日、建築家のお客様から、このプリントのカラーについて、質問がありました。
「コンセプト、そして、バッグのデザインも気に入っているのだが、この内側のプリントの色が気になっている。どうして、"こんな色"にしたの?」
今回は、この色について、ご説明します。35年ほど前は、私は駆け出しの若いデザイナーでした。パリコレ常連のデザイナーの会社で、国内向けの小さなブランドを担当していました。
ランウェイを行なうようなブランドではないのに、Tシャツのカラーですら妥協しない…そんな師匠から、企画内容のチェックが入りました。たかだか、白や黒であっても、"色のニュアンス"を求め、様々なカラー見本を用意して、セレクトして見せていました。
カラープレゼンにしくじった時に「洗面器みたいな色」と揶揄され、叱咤激励を受けていました。
「洗面器みたいな色」とは、ニュアンスを感じない色、人が心地良く思う色でない…という意味での言い回しです。例えTシャツの様なアイテムであっても、ちゃんと準備をして、考えて色出ししなさい…という事でした。

エアバッグの生地は、生きるか死ぬか…人の安全の事を一番に考えて、二番がない素材です。
当然、人に見せる為の気の利いたカラーが付いているわけではありません。
その色気のない生地とシートベルトを使って、バッグとして仕立てます。
そして、そのエアバッグ生地は、ナイロン製です。
違う言い方をすると、海洋投棄で昨今問題になっている「プラスチック繊維」になります。
yoccatta創業の際、プロトタイプのトートが上がってきた時に、このイラストをプリントすることになりました。
その時にあの「洗面器みたいな色」を思い出しました。
"廃棄プラスチック繊維"を扱う yoccatta

 
現代社会で、生活に欠かす事ができないとても便利なプラスチックですが、この素材の扱い方が、この先、大変な問題になる!
いずれ、きちんと回収して、平行リサイクル(プラスチックからプラスチックに)しなければ、ならなくなる…。
プラスチックという素材をもつと意識して欲しい!注目して欲しい!
そこで、あえて、昔の洗面器みたいな、ニュアンスのない「ブルー」にする事にしました。
※そう言いながらも、カラー見本は、幾つも用意して…。
問合せしてくれたお客様は、この色は心地よく無い…と感じ取ってくれた…。
居心地の悪いこのブルーに気が付いてくれた事が、嬉しくもあり、その感性がありがたかった…。
yoccattaの製品は、プロダクトとして、完成度を追求しています。
身に付けたい…と思えるファッションとしての”色気“も持ち合わせています。
そんな商品の内側に、あえてこの"違和感を感じるブルー"でコンセントをプリントしています。
yoccattaは、一癖ある!ファッションプロダクトです。



yoccattaのエシカルSTORY … 2

『yoccatta TOKYO』のエシカルな歩み

[その2]アップサイクルの困難な道のりについて

 

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廃材をファッションアイテム として製品化する難しさ

 

 

工程に関わる人達との、“思いの共有”

 

自動車解体工場では、エアバッグを作動(爆発)させて回収します。

その際に汚れや火薬臭が付いてしまいます。また、立体的に縫製されているため、 解体して生地を平面にもどす工程も必要です。廃材をプロダクトとして成立 させるためには、全ての工程に関わる人達に、“思いの共有” がないと、前へ進めません。

まずは、エシカルの説明からスタートしました。

 

 

 

アップサイクルにおける ファッションデザインの役割

 

ハンデをカバーするプロダクトとしての完成度

心の片隅が温かい気持ちになるようなデザイン

 

 

“バージン”素材を比べ、“廃材”アップサイクルは、コスト的にハンデがあります。

ヨカッタはファッションのプロ集団。

ファッションの知恵や技術、経験を駆使して、廃棄エアバッグから『完成度 の高いファッションプロダクト』を生み出すこと … これが、yoccatta の役割 です。

 

シンプルに「欲しい」と思える デザインは、手に入れた人に活力を与え、完成度の高いプロダクトは使う人に自信をもたらします。

 

 

 

 

yoccattaのエシカルSTORY … 1

『yoccatta TOKYO』のエシカルな歩みを、改めてSTORYにまとめました。

今回は、[その1]yoccattaの誕生STORYです。

 

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全ては、“エアバッグ開発技師”との出会いから

 

 

見ないにこしたコトはない…『エアバッグ』!

 

2014年、自動車会社のエアバッグ開発技術者から話を聴く機会がありました。

 

 「生命を守る為の研究開発の仕事」  

「運良く作動しなかったエアバッグは、 再び使用することはできない」  

 

エアバッグが作動しなかったこと、 すなわち事故に遭わなかったことは最も重要なことだけど、“研究の成果” が、 最後には捨てられてしまうもどかしさ ... エアバッグ開発技術者の複雑な思いが、同じ作り手として胸に刺さりました。  

また、人知れず人命や環境の為に働く姿勢を、 純粋に「カッコいい!」と感じました。 

 

 

エアバッグが作動しないで『ヨカッタ!』  

エアバッグを捨てないで『ヨカッタ!』

運良く作動しなかったエアバッグは、棄てられている。

 

廃車の際、殆どのパーツはリサイクルができるのに、エアバッグとシートベルトはリサイクル出来ずに焼却するしか術がないという現実を知りました。そんな中、エアバッグやシートベルトをわざわざ回収している自動車解体工場があることも。

 

ファッション業界で長らくプロダクトの仕事をしてきて、言わば、“20世紀型”の仕事の仕方が身についています。

これまでの手法では製品化できないことは分かっていましたが、時代の狭間に生きているクリエイターとして、廃棄エアバッグを再生する仕事に挑戦したいと思いました。

 

2014年、『yoccatta TOKYO』がスタートしました。

 

 

 

 

渋谷ロフト5Fでのお取扱い

SNSでは既にお知らせしておりますが、

4月より、渋谷ロフト5Fにてヨカッタの商品をお取扱いいただいております。ポップアップではなく、待望の常設です!

 

↑5階 [アウトドア・バッグ&トラベル]フロアのサステナブルな商品を集めたコーナー

 

ロフトのサステナブルな取り組みについて、あまり知られていないようなので、この機会に少しご紹介できたらと思います。

 

エシカルコンシェルジュとして注目したきっかけは、2019年に新しくなった銀座店でした。サステナビリティをコンセプトとして生まれ変わり、エシカルなイベントも多く開催されました。

その後、社内で「環境・社会価値創造部会」も設置するなど、さまざまな角度から環境負荷の低減について検討を重ねていたようです。2021年からは、「LOFT GREEN PROJECT  雑貨のチカラで、暮らしと地球をしあわせに。」というスローガンを掲げ、全店でよりサステナブルな取り組みを実践されています。

 

具体的な取り組み例としては・・・

●リサイクルの拠点として、〈化粧品の容器〉〈ペンなどの筆記具〉〈使用済みキッチンスポンジ〉〈タオルやカーテンなどの繊維製品〉の回収BOXを設置する企画。(※設置は店舗による)

●渋谷店の企画〈ムスブシブヤプロジェクト〉の第一弾では、渋谷観光協会とのタイアップでSDGsをテーマとしたモノやコトを紹介。

この春には

● 渋谷・銀座で『ソトコト』とのコラボ企画〈ロフトコ雑貨店〉を始動。

日本のローカルと食に、サステナビリティの視点を加えた新企画で、4月〜5月に開催された第一弾は、“お茶特集”でした。

(ヨカッタの取り扱いも、この時期から)

 

 

私の個人的な感想ですが、

ロフトの場合、“いかにもSDGsです!”という、思考に訴えかける展示ではなく、“普通に楽しくショッピングしたら、それがサステナブルな商品だった”という雰囲気づくりを感じます。

やはりお買い物は楽しくしたいですし、お洒落で使いやすいモノを買ったら、地球にもやさしい商品だった…というのは嬉しい展開♪

さり気なく、エシカル商品率がどんどん高くなっているロフト、エシカルコンシェルジュとしてもエールを送りたいです。

 

渋谷店で『yoccatta TOKYO』をお選びくださったのも、“買い物の楽しさ” と “サステナビリティ” のバランスを大切にされている流れからなのかなと感じています。ありがたいです!

 

アップサイクルならではの個体差や軽さなど、店頭でじっくりヨカッタを体感していただけます。渋谷ロフト5階へぜひお立ち寄りください。

わたしがつくる電気 

先日、電力需給ひっ迫警報が出たこともあり、日本の電力事情に不安を感じた方も多いと思います。

この警報が出た直接的な原因は、福島県沖の地震発生と気温低下でしたが、現在の日本の状況は、2050年の脱炭素に向けて、エネルギー政策の移行中なのです。その上、蓄電技術もまだまだ開発途上 … ということから、エネルギー自給率の低い日本においては、今後も脆弱な状況は続くと覚悟しておいた方が良さそうです。

まずは、節電ですね!

(日本のエネルギー自給率:12.1% / 2019年度数値)  

 

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さて今回は、“エシカルな電力” について、書いてみたいと思います。

 

 先日、千葉県匝瑳市にある「THE 土と太陽の発電所」のバーチャルツアーに参加し、その後、実際に草刈りにも伺いました。こちらは、発電事業者である市民エネルギーちばと、エシカル協会・ハチドリ電気・農業法人Three Little Birdsの3社が運営するソーラーシェアリング発電所です。

 

改めて『ソーラーシェアリング』とは・・・

田んぼや畑などの農地に支柱を立て、上部で太陽光発電を行う、“農業” と “発電事業” を両立させるしくみで、次世代農業としても期待されています。  

日本発信の技術だということも初めて知りました。発案者は長島 彬氏で、2004年に特許を取得後、誰もが無償で利用できるよう公開。今や日本各地 2,000ヶ所以上で設置されているそうです。

 

農業×発電によって収益性を高める以外にも、いろいろなメリットがあります。  

◎ 環境に負荷をかけず、農地をいかす発電 (山を崩して設置する発電方法との違い)   

耕作放棄地問題の解決につながる   

太陽光パネルの設置は作物の生育に支障がない設計(パネルは細幅で間隔を保ち、高さも確保。大型農業機械も利用可)  

◎ 災害時には地域の人に電力をシェアできる  

 

そして、“エシカルな電力” のもうひとつの柱は、有機農業。 特に、農地を耕さない不耕起栽培を採用すれば、土壌の中に炭素がより多く固定され(CO2の削減)、温暖化防止に役立ちます。

実際、草刈りに行って感動したのは、ふっかふかの地面。これは地面の下の環境がとてもよい証拠かと。ソーラーパネルの圧迫感は全くないし、懐かしい土と草の香りの中、長靴でふかふか絨毯の上を歩いているようで、しあわせな気持ちになりました。  

 

ちなみに、市民エネルギーちばでは、パタゴニア社ともコラボ。「THE 土と太陽の発電所」のお向かいにパタゴニア社の設備があって、こちらで発電された電力は、パタゴニア渋谷ストアで使用されているそうです。  

 

市民エネルギーちば(株)代表の東 光弘さんいわく、マンションのベランダで野菜を育てるように、ソーラーパネル1枚からでんきはつくれる。〈プチトマト×ソーラーパネル〉なんていうのもアリだそうです。野菜も、でんきも、じぶんでつくる。 「習うより慣れろ!」だそうで、でんきが急に身近に感じられた気がしました。でんきのこと、有機農業のこと、もっと調べてみたいと思います。

 

 

ー MEMO ー

『ソーラーシェアリング』には課題もあり、パネル素材はリサイクルしやすい設計へと移行しつつある段階だそうです。また、国産パネルの開発が遅れており、現在は中国産パネルに頼っている状況。メイド イン ジャパンのパネル開発に期待したいです。